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e 人生には…  

人生には
思わぬ落とし穴が 待っている

けれど
ごくたまにだが
穴に嵌らぬ
運のいいやつも いる

もうひとつ
人生には
甘い罠というものも ある
芳香を放つ密に
誰もがいともたやすく
惑わされるのが 滑稽でも ある














# by kuki-eme | 2012-05-12 16:26 | 詩のやふなもの

e 芸術とは  

芸術とは

人間の エキセントリックな

衝動を 満たす

偉大な 小道具だ

小道具ゆえか

なぜか いつも 哀れなほどに

せせこましく 騒々しい











# by kuki-eme | 2012-04-18 19:59 | 詩のやふなもの

e ブカッコウ  

夢の中で
誰かが わたくしをどなりながら
無数の針で 身体を 刺す

まどろみは 束の間
ブカッコウに 身を折り曲げ
わたくしは ゆっくりと 瞼を開く

闇に被された 瞳が
注ぎ込む光の前に 晒される

今度は わたくしは
陽の雨に 射られている

ここは どこだ?
頭と心が  熱い










          

# by kuki-eme | 2012-04-04 18:44 | 詩のやふなもの

e   

わたしは

あなたの 栞です

心の頁の奥深く

そっと挿んでおいてください



/2007.2.14





# by kuki-eme | 2012-03-24 19:06 | 詩のやふなもの

e 偶然というやつは…  

どうやら
偶然というやつは
人間どもを驚かせるのが
生き甲斐のやふだ

コトノナリユキなど考えもせず
結末を見届けもせず
すーっと
すまし顔で その場を
立ち去ってしまうもののやふだ









# by kuki-eme | 2012-03-20 09:04 | 詩のやふなもの

e 「盲目」  

不完全に創られしモノよ
なのに 何故だ?
おまえは頂きを極めようと
両の眼玉(まなこ)を 色で塗りたくり
噴き出る汗で 身を飾り
怠惰の海に溺れ
生 を愚弄するのか?
世 を翻弄するのか?

頂点が輝いて見えるのは
永遠という名の雲母に
心が覆い隠されているからだ

目覚めよ! 
  
        /2009.8









# by kuki-eme | 2012-03-16 19:10 | 詩のやふなもの

e アートよ!!  

親愛なる友人瀬川明子さんの作品の展示会が始まりました。










大震災を乗り越えての作品はとてもとても濃厚です。
あたしは勝手に「魂塊」と名付けました。












もうひとつはコチラ。

一連のウズクマル子たちのニューヴァージョン。
純真無垢な美しい子です。
巻貝の妖精のようで愛らしさもあって素敵です。

時間のある方、どうぞ足をお運びになって「実物」とお会いになってくださいましね~

# by kuki-eme | 2012-03-05 17:04 | アートたち

e …宮澤賢治どの  

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハ
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・ナレナイ

# by kuki-eme | 2012-02-17 18:39 | 戯れ言たち

e 明けまして、、、  

おめでとうございますぅ。

# by kuki-eme | 2012-01-01 07:53 | あたしからの絵手紙

e 残暑見舞い  

# by kuki-eme | 2011-08-09 13:34 | あたしからの絵手紙

e 暑中お見舞い  

# by kuki-eme | 2011-08-02 07:30 | あたしからの絵手紙

e 今月の蘭の会  

「― 夢 ―」

あんまり暑いから
お昼寝したのよ あたし
そしたらね
夢を見たの

ネトネトとベトベトが出てきて
こう言ったの

まんべんなくお塗りください
手の平で薄く伸ばして
そうそう、その調子

鏡にうつしたら
あら、やだわ
真っ白なおまんじゅうみたい あたし

ネトネトとベトベトはプンプン!!

そんなに怒らないでよ
わかったわ
このまま15分 待つのね

ピピピピピーーーー
タイマーが鳴って
目が覚めたら

まぁ 大変!!
おめめも おはなも おくちも
みーんな溶けちゃって
どこかに行っちゃったの

・・・・っていう   ― 夢 ―


**************今月の蘭の会お題は「クリーム」
クリームといえば…今の季節なら「アイスクリーム」。
そうよね、、この暑さだもんね~
でも浮かんだのはなぜか…こんな詩だった。
よくあるんだ、夢の中で夢を見るって……そういうことが。。。
    

# by kuki-eme | 2011-07-14 19:24 | アートたち

e 詞画集「縷縷」より  

     M A S K   仮面


蝕(むしば)まれた糸杉が 僕に訴える
「 どうか お願い… 鳥たちの棲み家 返して! 」
汚染は 森まで広がって いつしか 虫さえ消えていく

崩れかけた夕日が 僕に訴える
「 どうか お願い… 生まれたての光に 戻して! 」
汚染は 赤道まで広がって ほらね 星も消えていく

ああ… これが 現実というのなら
“ 未来 ”消していく
ああ… 犯人 僕に突きつけて
“ 仮面 ”剥がしてやろうじゃないか

忘れ去られた君の心が 僕に訴える
「どうか お願い… 蕩(とろ)ける愛 もう一度! 」
汚染は 脳にも広がって そうさ 僕らも消えていく

ああ… これが 真実というのなら
“ 君の夢 ”壊す
ああ… 犯人 僕に突きつけろ
“ 仮面 ”剥がしてやろうじゃないか



*********原発の放射能汚染、、、いったいどこまで広がるのか?
     ニュースではさらりと伝えているが、
     おびえている人たちは多いはず。
     未来を担う子どもたち。
     一番心配なのは子どもたちだ。

# by kuki-eme | 2011-06-29 18:46 | アートたち

e オヤスミの朝  

ぼろ市でめっけた
あたしのお気に入りは
招き猫の目覚まし時計

にゃぁご 
にゃぁご
けだるい鳴き声で 朝 を 目覚めさせる 

勢い良く捻ったはずなのに
水道の蛇口からは ぽたりと一滴
真っ黒な闇が滴り落ちるから
涎のコビリツイタ 夜 を
あたしはごしごしと洗い流す
けれどいくら擦っても
夜 は なかなか剥がれ落ちてくれそうもない

そういえば夕べのお花見のあとだった
桜はとうに盛りを過ぎ
春酔いしたあたしを
朧月が抱きかかえながら 
掠れた鼻声でこう言ったんだっけ

おやすみ 
おやすみ
抗わず夢見ごこちのまま 眠れ

だからかもしれない
あたしの 朝 が 
オハヨウじゃなくなったのは…
それにしてもだ
このオヤスミのままの 朝 は 
一体いつまで続くのだろう?

半分千切れかけた猫の尾を引っ張り
あたしは 朝 に問いかけてみた

にゃぁご
にゃぁご

猫は
ただ闇に閉ざされた 朝 を手招くばかり


*******蘭の会/6月お題「眠り」




# by kuki-eme | 2011-06-20 20:46 | アートたち

e お勧めの「HAPPINESS」  

なんてすばらしい一冊!!
この一冊の中に「しあわせ」もですが「希望」がいっぱい詰まっています。
「愛」や「癒し」や「夢」や…「上質なエロス」、、
それからそれから「勇気」というエナジーも。。

この本に出会えてよかった。
ほんとによかった。


ウイリアム・シェークスピア 劇作家 /イギリス



マザー・テレサ 修道女 /マケドニア



高橋尚子 マラソン選手 /日本



ロマン・ロラン 作家/フランス

            
           ※ 新人物往来社 定価1400円

# by kuki-eme | 2011-06-09 19:25 | お気に入り

e 2011.Vector  

「護符の舞」

今年も市ヶ谷の山脇ギャラリーで[ベクトル展」が始まった。
今回は10周年記念イヴントとして展示期間が1週間延長されたという。

創造物たちは一様に素晴らしかった。
ブラボー!!の声が思わずもれた。

特に友人の瀬川明子氏の作品は一見の価値あり!!


************
人形作家の瀬川明子氏は浜松在住。
人形作りの基本は東京の専門学校にて通信教育を受ける。
卒業後は同行の講師の資格を取得。
浜松在住の彫刻家に人体デッサンの基礎を学ぶ。
彼女の産み出す人形は「ヒトガタ」と呼ばれるが創作人形の域を超えた新しい人形作りに挑戦しているところは多いに賞賛すべし。
   ※参照 中井幸一氏

# by kuki-eme | 2011-05-16 20:16 | アートたち

e [800字]シングル・シンデレラ・マザー  

「…赤ちゃんが」
そう云いかけた途端ジェットコースターが目の前に急降下してきた。
「今、何って?」
ジェットコースターは瞬く間に時間のレールを滑り落ちていく。
「あのね。出来たのよ、赤ちゃん」
一瞬ツトムの目は凍ったみたいに固まった。
するとついさっき私たちの前を素通りしたばかりのコースターがまたこちらに向かってゴーッと轟音を響かせる。
ツトムはまだ私を見つめたまま黙っている。

「パパ、これがいい!」
3歳位だろうか。女の子が駆けてきた。
小さな手で彼女が指差したのは直ぐそばのメリーゴーランド。
「僕らも乗ろうか?」
ツトムは颯爽と一頭の白い馬にまたがり王子のように私を手招いた。
「お姫様お待たせしました」
不意に堪えていた私の目から涙が溢れた。
「…ごめんな」
涙を拭う私の手元を見つめてツトムは顔を曇らせる。

「5月の連休には遊園地に行こう」
そう約束したのは一緒に暮らし始めて直ぐのこと。
幸せだった、あの頃は、ほんとうに…
事故はあまりに突然で、ツトムはあっけなく「ふたりの明日」から消え去った。
私は呆然とただあてどもなく涙で日々を塗りつぶしてた。
そんな今日。
カレンダーは5月を名指し、気づくと私の足はあの日の約束通りココに向かってた。
それは新緑の木々に囲まれた郊外の遊園地。
辺りはまぶしい陽射しと家族連れに満ち溢れ、うつむいたままの私は髪を撫でていく優しい風にふと立ち止まる。そして振り返ると、ツトム、あなたが笑ってた。

「ひとりでも…大丈夫?」
「さっきまではね、ちょっぴり不安だった。でも今はもう…」
メリーゴーランドはゆっくりと私とツトムと、そして私のお腹の中の愛の実を乗せて回り始める。
かぼちゃの馬車の中ではさっきの女の子が嬉しそうに手を振っている。
彼女は今だけのシンデレラ。満面の笑みをあちこちに振り撒く。
ううん。きっとあの子もいつか本当のシンデレラになれるはず。
そう、私のように…ね。
ツトム。今日は会えて嬉しかったよ。
あなたが私に残してくれたものは思い出と、そしてもうひとつ。
それはイノチという名の新たな未来。

私が選ぶ今も、きっとまた私を「幸せ」という時間に巡り合わせてくれるはず。
ツトム。だから私はもう大丈夫よ。
だって…シングルマザーは強いんだもん。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【800字】5月の連休に/遊園地で/赤ちゃんが  
たまにはメルヘンチックに…        
2004・4.19

創作楽市 に新作を投稿しました。よかったら覗いてみてくださいな。       

# by kuki-eme | 2011-05-08 18:38 | お気に入り

e 冬螢  

いつのまに 夢幻に舞う
あっ、冬螢…
薄い薄い産毛 その身から
ひらひら剥がれても

数え切れないカナシミや
忘れられないオモイデも
沸き上がるこのイトシサに

きみのうたごえが
あなたのまなざしが
すべては過去という
時の器にしずむ 夢のよう…消えてゆく   /うつわ


はてしなく 群れと戯れ
ねえ、冬螢…
淡い淡い雫 その瞳から
はらはら零れても

語り尽くせぬ物語
思い描いた夢模様
閉じ込めたままの愛綴り

きみのゆびさきが
あなたのくちびるが
すべてははじまりの
時の扉のむこう 鐘のよう…胸を打つ

きみのぬくもりが
あなたのおもかげが
すべてはいまだけの
時の洋灯に灯る 愛のよう…揺れている     /ランプ


*************
昨日は関東にも雪が舞い散りました。
そういえば、こんな歌を作ったな。
「冬螢」…切ないオモイ、言の葉に託し“あの人”に送ったりして。
そんなおバカな遊びを楽しんでいたこともあったけ。
今は昔、、、大人げもなく、はしゃいでいたあたし。。あはは(苦笑)

# by kuki-eme | 2011-02-13 10:40 | アートたち

e 草木張り月…kisaragi  

月はおぼろで
うさぎがみえない
今夜も逢いびきはおながれか

星もあっという間に飛び散って
願い事が言えなかった
だから明日も明後日も
あたしは ひとり

あんまり辛くて鼻水垂れた
白く濁ったつららができた
舌を這わせば あの人の味

長く垂れた雫のさきっちょ
草木張り月が
春を抱えてちょこんと止まった
凍える指で暦をなぞって
試しすがめつ言葉を放つ

ひいふうみいよおいつむうななやあ…

いくら数えても モノタリナイ

おかしいなぁと首傾げ
梅の花一輪もぎ取って
恋占いでもしてみよか

すききらいすききらいすききらい…

と、春が頭を持ち上げる
春は立てども
ひとりぼっちじゃ モノタリナイ


# by kuki-eme | 2011-02-02 20:27 | アートたち

e ファ・イ・トォ  

風の便りも来なくなった
人の噂もひと月と持たなかった

待っているのはおいらだけ?
信じているのはあたいだけ?

幼子はお年玉を頬張りながら
ころころと駆けていく
一体全体
どこに向かっているのか
彼らは知らない

何もかもが無になれば
何もかもを捨てられる
空っぽはさぞかし気持ちがいいだろう

原っぱで大の字で寝転んで
お正月さんを仰ぎ見る
眼に飛び込むのは澄み渡った紺碧
ほんの少し
ひやりとした現実が
右往左往を繰り返しては
凍えそうな指先をくすぐる
と、その時
ちぢこんだ耳たぶに
金属製の声が止まる

「カン!」

あっ、いけない。
寝転んでる場合じゃなかった
缶けり遊びをしてたんだ
…ところで、
鬼は誰だっけ?

と、
初夢はそこで
儚く
途切れた

「カン!」

耳の奥
声はいつまでも
足踏みをしてるから

「ファ・イ・トォ」
あたしは小さくつぶやいた

# by kuki-eme | 2011-01-10 20:02 | アートたち

e 明けまして  

# by kuki-eme | 2011-01-02 10:42 | アートたち

e オトシモノ  


素通りしていった
過去たちは
しらじらしくどこまでも
甘い余韻をちらつかせる

オチテシマエ
と、あなたが言ったから
女は 有漏に潜ったままで   /うろ

もう底はないからと
手を伸ばして掴もうとする無漏に   /むろ
生ぬるい滴りを感じて
一口 啜ってはみるけれど


女の落ちた場所は ことのほか仄暗く
オトシタモノハナニ?
思い出したように 女は
目を凝らして 足元を探りはじめた

いまも 余韻に依存したままで
ぎくしゃくとした この感情に
・・・誰も終止符を打てない

そのせいか
ヒロイアゲタコタエ  
は、女の凋んだ胸で
捨てられたばかりの子猫のように  まだ、きょとんとしている



※有漏…煩悩の状態
※無漏…煩悩の無い境地

# by kuki-eme | 2010-12-30 18:45 | アートたち

e Shi‐bito花  



たれが名ずけたそのなまへ
死ビトを葬送るはきみが役目

想ふひととはソエヌとも
あの世とやらで叶う夢もありや
抑えきれぬ緋色の想ひ
死出の旅路
どうか迷わぬやふにと
かざす手は幾重にも
たおやかに天 仰ぎ
哀しみはまるごと呑みほして
きみは咲く
きみは咲く

彼岸の淵を
鮮やかに
艶やかに
ああ…曼珠沙華 
モガレタ愛を乞ひ 天仰ぐ

# by kuki-eme | 2010-10-04 19:06 | アートたち

e 真夏の夜の幻想怪談夜話4作  

NHKBSハイビジョンで23日から4夜連続で放送している
妖しき文豪怪談
コレが素晴らしい。
堪能している。

監督の思い入れがすごいから
どの作品にも「作家の魂」が籠っていて
ああ、あたしもこんな世界を描けたなら~って思ってしまう。

ドレもコレもみな4作品とも芸術的作品ばかりなので
きっと再放送もあると思う。
見逃がした方はその時にでも、、どうぞ。

文豪たちの妖しの世界にぜひ浸ってくださいましな~むふふ。。。

# by kuki-eme | 2010-08-26 21:06

e ゑ女のホラー「風見鶏の家」  

― 売り出し中 ―
だいぶ前からだ。家の前にはそんな古ぼけた看板が立っている。
けれどこの風見鶏の家にはお化けが出るというもっぱらの噂だ。
以前何処かの雑誌にも掲載されたらしい。
そう・・・いわゆるこの家は「幽霊屋敷」というヤツなのだ。


実の父と別れた母は久美子を連れて3年前に義父と再婚した。
順調だった義父の会社の経営が思わしくなくなったのは一緒に暮らし始めてまもなくのことだった。
リストラを余儀なくされた義父は次第に酒に溺れる様になった。
家のローンはまだだいぶあった。仕方なく母は近くのスナックに働きに出た。
もともとの素地か、酔うと義父は手がつけられなくなった。
その憤りの矛先がいつかしら久美子に向かった。
義父は母が居ない隙に嫌がる久美子に度々いかがわしいコトを強要しはじめたのだ。
ある晩、偶然スナックを早退して帰ってきた母がそれを目撃した。
どちらかというと小柄な義父に比べ大柄な母だった。
怒り狂った母は羽交い絞めになって義父の首を絞めた。
したたかに酔っていた彼はあっけなく母の手の中でぐったりとした。
久美子は慌てて隣町に住む祖父を呼んだ。
駆けつけた祖父は放心したように蹲る母を見て、その義父の死体を鴨居に吊るした。
自殺に見せかける為だった。
リストラで義父が落ち込んでいたのは周知のことだったし、祖父のその作為のおかげで義父の死はそのまま誰にも疑われることなく自殺とみなされた。
久美子たちはすぐにその家を売りに出し、祖父共々町から遠く離れたところに越して行った。
しばらくして売りに出されたその家には酔っぱらいの幽霊が出るというそんな噂が広まった。

それは、この「風見鶏の家」の話ではない。又別の家の話だ。その家も同じように売りに出されて以来、今も空き家のままだという。
私はこの家の屋根に据え付けられた風見鶏だ。
この家でも、その屋根の下には悲しい葛藤に苛まれ、辛い運命に玩ばれた人々が暮らしていた。どなたかこの家でこの世とあの世を行き来する哀れな魂に寄り添ってやる奇特な方は居ないものだろうか?

この世に未練を残す魂の棲む家のてっぺんで、今日も私はその身を風に任せクルクルと時を見つめ続けているしかないのである。

# by kuki-eme | 2010-08-08 13:46 | ゑ女の掌編

e 「ヒロシマの空に」  

澄んだ青い空に包まれて
真夏の太陽がとても眩しい
朝だったよね

「もうすぐ会えるのよね」って
噴出す汗を拭いながらも 
あなたはその青い空を見て
嬉しそうにそうつぶやいた
なのに、それは・・・

ボクタチの出逢いを奪った朝になった
ボクタチの明日が消えた日となった

一瞬の白い光は 飛び散った時間と一緒に
焼け付いた影を その場に置きざりにして 
ものすごい爆風を巻き上げた
放射された熱は 行き場なく 
空がどよめきの叫びに 覆われる中
雲はひしゃげたまま・・情け容赦なく黒い雨を
地べたに叩きつけていった

あの夜には 星も月もなくて
あるのはボクタチの “いたはずの” 時間だけだった

あなたはただ呆然と 腐敗した雨の中
爛れた皮膚をぶら下げながら
どこに行こうとしていたの?
ボクなら大丈夫だよ
あなたの中で ボクはあなたといっしょに、
そう 、ずうっといっしょに・・・

だけど あなたのからだは赤い汁をたらし続け
心もイノチもどろどろに溶け出していくのさえ気づかずに
何時までも止まぬ炎の嵐に 煽られて
とうとう夜明けを待たずに・・・・・・・

ねえ、かあさん
ボクタチはたしかに 
あの日 
空を見上げていたんだよね

そう・・・・・・・あの ヒロシマの
どこまでも澄んだ青い空を、ね


*******また「あの日」が来ました。
    「あの日」を忘れないように
    今年もまたこの詩を記載します。

# by kuki-eme | 2010-08-06 13:13 | アートたち

e 命拾い…の人魂  


その年の秋はことのほか寒かった。
「今朝もしばれるなあ」
まだ10月もはじめだというのに足元の小道には大きな霜柱がいくつもきらきらと朝の
光を反射していた。
山崎さんは愛犬のブッチを連れ林の中を散策していた。
林の中は日中でも鬱蒼としていたが、美味しそうな山菜の宝庫でもあった。
つい山菜取りに夢中になった山崎さんはいつの間にか道に迷い獣道をさ迷っていた。
空を見るとさっきまでの晴天がいつの間にか怪しい雲行きになっている。
と思う間に、とうとう霙(みぞれ)混じりの雨が降ってきた。
山崎さんには持病の高血圧があった。
寒さのせいだったのだろう。
急に目の前が真っ暗くなった彼は胸を押さえその場に倒れこんでしまった。

それからどのくらい経っただろうか。
クゥーン。犬の鳴き声がする。ブッチが心配げに山崎さんの顔を舐めている。
ブッチのざらついた舌の感触にようやく我に気づいた山崎さん。
見れば辺りはもう真っ暗だった。頭上には煌煌とした月が丸い顔を覗かしていた。
慌てて起き上がろうとしたのだがなぜか体が言うことをきいてくれない。
・・・このまま逝っちまうんだろうか。
奥さんや子どもたちの顔が頭の中を横切った。
と、そんな不安げな彼の目に映ったものがあった。
ふうわりと空に浮かぶ、うすぼんやりとした黄色い火の玉だった。
その玉はまるで自分を手招くように彼の周りを何度も行き交っている。

山崎さんは無理かと思ったがもう一度体を起こしてみた。
するとどうだろう。今まで重石のようだった自分の体が嘘みたいに軽い。
山崎さんは戸惑うことなくその玉のあとを付いて行った。
玉は八幡様の鳥居の下で止まった。鳥居には何かがぶら下がっている。
見上げた山崎さんは目玉が飛び出さんばかりに驚いた。
ぶらりと垂れ下がっていたのはマナコを見開いた若い女の首吊り死体
だった。
ブッチはと見ると怖気づいたように彼のうしろでキャンキャン吠えたてている。

「早く誰かに見つけてもらいたかったんだろうな・・・」

それにしてもだ。
今でも山崎さんはあの時のコトを思い起こすと違う意味でぞっとするという。
あの人魂が俺を見つけてくれなかったら、
あのまま自分もあっちの世界に逝ってたかもしんないな・・・と。 


****
今日の関東は猛暑日でした。日中は脳が溶け出しそうでへたばってました。
で、今夜もヒヤッとするお話を、、、少しは心温が下がりましたかしらん?

# by kuki-eme | 2010-07-20 20:03 | ゑ女の掌編

e 久々にゑ女のホラー話を、、、  

「招く手」


元漁師の文吉は酔うと説教話がしつこくなる。
「ええか、耕太、話がある」
「じいちゃん、またかよ、いいかげんにしてくれよな」
孫の耕太はうんざり顔で夕食の席を立とうとした。
「おめえ、夕べ、あの洞窟の橋跡に行っただろ?」
文吉のその言葉に耕太は少しどきっとした。

昨日の晩、確かに彼は仲間たちと村はずれのちょっと先、
吊り橋を渡ったすぐ下の洞窟でシンナー遊びにふけっていた。
文吉の目はいつになく厳しく自分に注がれている。
「アソコにゃ、絶対・・・近づいちゃなんねえぞ」

あの村が廃村になってどのくらいになるだろう。
当時はまだ、村には人々の暮らしがあった。
細々とだが昆布取りをしながらそれを隣町まで行商に行ってなんとか生活できる日々があった。
けれどそんな時期もすぐに終わりを告げた。
ひとり、またひとりと人々は村を去り、村にはだんだん廃屋が増えていった。
それでも最後まで残っていた家族があった。治郎一家だった。
治郎には口のきけない知恵遅れの息子がひとりいた。
そしてもうひとり。
呆けて腰に紐を縛りつけられた小便垂れ流しのばあさんだ。
嫁のトキは毎日二人の世話に明け暮れて疲れきっていた。
治郎とて日銭を稼ぐこともままならず、細々と昆布漁で暮らしを繋いでいた。
その日、海は荒れていた。だが食べ物はもう底をついてきていた。
治郎は止む無く舟で沖に出た。けれどそれきり、
二度と治郎は家族の元には戻ってはこなかった。

トキは橋に二人を連れてきた。絶望のあまりか、そこでトキは鉈で次々と二人の頭を
打ち砕き洞窟に投げ入れた。勿論自分もすぐにあとを追うはずだった。
それでもトキはなかなか死に切れず、その橋の上で三日三晩夫の名を呼び悶え苦しんだ。

翌日はすごい嵐だった。
橋には大波が押し寄せた。荒れ狂う大波に飲まれた彼女の体は
あっという間に沖に連れ去られた。

それからだそうだ。
嵐の来る前には海で死んだ霊たちと一緒に殺されたばあさんと
知恵遅れの息子の霊が洞窟からその手を出して

「クルシイよ・・・ サビシイよ・・・ 」

と人間たちを手招くのだそうだ。

文吉のその話を聞き終えた耕太は鼻でせせら笑った。
「じいちゃん、ばっかじゃねえの。いまどき幽霊話かよ?」
祖父に悪い遊びを見られたことが気まずかったのか耕太は逆に彼を蔑んだ。

翌日、耕太は早速仲間にその話をした。
仲間たちは口々に面白がった。
「出るか、出ないか、賭けようぜ」
ーー台風五号北海道にも接近。
テレビの天気予報はそう告げていた。

耕太たちは遊び仲間三人と示し合わせて
日暮れに洞窟の橋跡で落ち合うコトになった。
ところがだ。突然文吉の具合が悪くなった。
あいにくと父親は漁協の会合に出ていて留守だった。
仕方ない。耕太が病院まで祖父を送らなくちゃならなくなった。
耕太はすぐに仲間にメールした。
ところがケータイのメールは何度送りなおしても繋がらなかった。

翌朝、村は大騒ぎだった。
三人の若者の行方が知れないという。
耕太はそれからずっといまも眠れぬ夜を送っている。

# by kuki-eme | 2010-07-16 21:11 | ゑ女の掌編

e 天女と四匹の龍  

改めてご披露させてください。




飾られた絵はこんな感じ




コレはお店の壁。
斜めにウッドが張られているから
ちょっと不思議感覚かな。
絵の大きさは
縦90センチ
横65センチ
店は6畳ほどのちっちゃな店。
それを額に入れてるから作品は結構大きいんだけど
だからかな、、何かと話題になることもあるんだとか、、
それにしてもなぜこんな絵が出来上がったんでしょうか?


発端は店主N子さん、カノジョの見た夢から。。
歳は70歳。←とは思えないくらい若々しい!!
どうみても60才くらいにしか見えないモダンな女性。

店は40年続いてるスナック。
店の名前はチャド。
店を始めた当時の独立国の名前を取ったのだそうだ。
彼女の人生もあたしと同じで波瀾万丈がいっぱい。
店を始めようとしたとき家族は大反対。
そんなある夜のこと。
N子さんは夢を見た。
自分の周りを龍が天向かって昇っていくという、
そう…昇り竜の夢。
それも一匹ではない幾匹もいたそうだ。
翌朝父親にその夢の話をした。
その夢でカノジョの決意は実行へと向かった。

「自分の見た夢を絵にしてもらいたい」
そう言われたのは二年前のことだった。
「そ、そんな大それた絵、描けないよ」
一度は断った。
でも、、彼女は引き下がらない。
「描ける時がきたらでいいから…お願い」

この絵は半日で一気に描かれた。
神経を集中してただひたすら描いた。
構図は、カノジョ~夢の話をされたときにすぐに思い浮かんだ。
4匹の龍たちは「生老病死」を表している。
まん中でハスの花を手にしてる天女はN子さんだ。

この絵が店に飾られた日だった。
思いがけない事が起こったという。
十数年も交流が途絶えていたお客さんが店のドアを開けた。
お客さんは十人ほど友人を引き連れていたそうだ。
N子さんは思った。縁起のいい絵だと。。

龍は確かに幸運を運んでくるといわれている。
彼女が病気もせず40年も店を続けていられるのも
「夢」のおかげかも。
それを“カタチ”にしてくれたあたしには感謝感激だと、、、
言われたあたしもとてもうれしい。
むしろこんな絵を描かせてもらえたことに感謝感激。。
多分人生で初めてで最後のことだろう。

# by kuki-eme | 2010-07-08 19:48 | アートたち

e 告白  

週明けの妙にむしむしする朝。
身は少し軽くなった気がする。
鬱も少し軽くなってきたみたいだし、
家にこもっているのもなんだし、、と、
ちょいと映画でも観てこようかな。
うん。いいかもしれない。
で、何を観る?
そうねぇ、、「告白」がいいいかな?
テレビでも「どっかーーん!」と宣伝してる。
どっかーーん!で気分が晴れるのか?
晴れればいいけど、、
少々の危惧もあったがバスと電車に乗って川崎まで~~

原作は今一番の人気作家、湊かなえ。
本屋大賞というので即ネットで購入。
作品としてはストーリー展開が興味をそそる内容だったし
「面白い」という評判通りだったし、
一気に最後まで読み上げてしまった。
その映画化はといえば、、
原作に忠実で、確かにリアルな復讐劇を復習?させていただいた感はある。
けれど、、、最後の「…なんちゃって。。」で、、
やっぱしアウチ!
1800円も出したけど
なんなのこの映画?!
映画化する必要あったの?
原作を楽しむだけで十分だったのでは?

ま。。。。傑作か?駄作か?
それはわかれるところだと、前評判はあったようだが、、
あたしは駄作に一票!を入れちゃうな。
「嫌われ松子」…は傑作の部類に入るけど、、
中島監督さん、
今回は作品の選択、間違えちゃったんじゃない?
どのシーンをとってもいただけないな。
残念だけどおススメ作品には入らないですぅ。

***昨日は精神科医、香山リカさんの講演会。
「ストレス社会をどう生きる?」
鬱にも通じるものがあるかもしれないので
体調はいまいちだったが、近くだったので身を運んだ。
リカ先生曰く。
「今までだって十分生きてきた。そんなに多くを望むことないんじゃない?
 美味しものでも食べて、新しい洋服でも買って、せいぜい今を楽しみましょう」
多分、こんな感じで生きていたら明日もまたきっと楽し~~って言いたかったのかも。
そうなのだ。欲張ってはいけないのだ。あるがままの自分をいとおしんでやろう。
そんな気持ちになれたので、、リカ先生には大拍手、ぱちぱち!
「うつもまたよし!」だ。
甘いといわれようと自分に優しくしてやろう。
それで今日がなんとかやり過ごせるのなら
明日もまた生きていけそうな気がするじゃん。
700円の会費でそんな風に思えたことははラッキー!
それに比べ、、今日の1800円はちと損した気分だけどね~~~

# by kuki-eme | 2010-06-21 17:46 | 映画に酔う日

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